米大統領トランプ氏が、フェンタニル危機の深刻性を訴え、その対策について語る。フェンタニルがアメリカ社会に与える壊滅的な影響を強調し、国境管理の強化、薬物密売人への厳罰化、そして中国への強硬な姿勢を主な対策として提示。悲劇的な現実を語る家族の声にも触れながら、国家を脅かす薬物問題への強い決意を示す。
フェンタニル危機は「米国の歴史上最悪の薬物危機」
トランプ氏は、フェンタニルが「アメリカ人にとって15歳から48歳までの死因の第一位」であり、特に「14歳未満の子供たちが最も急速に増加している」という深刻な実態を強調する。フェンタニルは「米国の歴史上最悪の薬物危機」を引き起こしていると述べ、その蔓延が米国社会に与える壊滅的な影響を訴える。
トランプ氏は、開かれた国境がフェンタニルの流入と薬物カルテルの米国内での活動拡大を許容していると強く主張する。「国境が開かれた悪夢は、フェンタニルと、ここにいるべきでない人々、地球上で最悪の人々で我が国を溢れさせた」と述べ、国境の安全保障が薬物対策の要であると位置づける。
自身の政権下では「米国史上最も安全な国境」を実現し、「先月は過去最低の不法国境越え数」を記録したと主張する。特に「6月にはその数がゼロだった」という驚くべき数字を提示し、国境管理の強化がフェンタニル対策にいかに重要であるかを訴える。
薬物密売人には「最低10年の懲役刑」、メキシコカルテルは「テロ組織」に
フェンタニル関連物質の取り扱いも厳しくなる。「全てのフェンタニル関連物質が永久的にスケジュール1麻薬に分類され」たことは「非常に大きなこと」であり、「これらの違法な毒物を密輸する者は、最低10年の懲役刑」が科されると説明する。これは薬物密売人を「路上から排除する」ことを目的とした、法執行の強化を示唆する。
また、「ハルト・フェンタニル法」の署名により、この法律の成立は薬物密売人や犯罪者、カルテルに対する「別の敗北」として位置づけられた。
さらに、トランプ氏はメキシコ麻薬カルテルを「外国テロ組織」に指定したことを明らかにする。これにより、連邦法執行機関の「全権」を行使して「国境を越える犯罪ネットワークと密売人」を根絶する取り組みが強化されるという。
中国には「20%の関税」と「死刑要求」を
フェンタニルの供給源として、トランプ氏は中国を強く非難する。中国が「フェンタニルの多く、あるいは全て」を供給していると指摘し、中国からのフェンタニル流入を阻止するための「20%の関税」が「罰則」として課せられていることを述べる。
さらに、中国に対し「フェンタニルを製造し、我が国に送る人々には死刑が科せられる」よう要求する意向を示し、前例のない外交的圧力をかける姿勢を明確にした。
フェンタニルが奪った命:悲痛な家族の叫び
フェンタニル危機が個々の家庭にもたらす壊滅的な影響を強調するため、トランプ氏はグレッグ・スワン氏とアン・フナー氏の証言を紹介する。グレッグ・スワン氏は、息子が「フェンタニルを混入させたピルを摂取し、命を落とした」と語り、アン・フナー氏は「たった一つのピル、友人から仲間からのプレッシャーで与えられた一つの間違いが彼の命を奪った」と述べる。これらの悲痛な声は、この危機が単なる統計上の問題ではなく、多くの家族に深い悲しみと絶望をもたらしている現実を浮き彫りにする。
トランプ氏の演説は、フェンタニル危機を国家安全保障上の脅威として捉え、国境の厳格な管理、薬物密売人への厳罰化、そして中国への強い圧力という三本柱で対策を講じることを明確に示した。特に、「開かれた国境」が薬物流入の主因であるという認識と、薬物密売に対する「最大限の処罰」の追求が、今後の政策の方向性を強く示唆する。果たして、トランプ氏の掲げる強硬な対策は、フェンタニル危機を食い止めることができるだろうか――。
コメント