元通訳捜査官で作家の坂東忠信氏が、自身のバズった演説動画を基に、日本の奨学金問題と外国人留学生への不公平な優遇措置について警鐘を鳴らした。日本の若者が借金に苦しむ一方で、外国人留学生への手厚い支援がある現状に疑問を呈し、国民の意識改革と大学制度の抜本的見直しを訴えた。
日本の若者を蝕む「借金」としての奨学金
坂東忠信氏は、自身の演説動画が合計1060万回以上再生されたことに触れ、その中で特に訴えたかったメッセージとして、日本の奨学金問題と外国人留学生への優遇措置に対する疑問を挙げている。日本の高校卒業者の約6割が大学に進学し、その半数が奨学金を借りている現状を指摘し、「一人当たりの平均借入額は約300万円」に上るという。さらに、結婚適齢期の人口の4分の1が借金を抱え、その借入総額の平均は324万3000円、中には「400万〜800万円借りている人も半数」にのぼると明かした。
奨学金の返済は平均して40代前半まで続き、多くの日本人が「人生の半分以上を借金と共に暮らす」ことになる。これは精神的にも大きな負担だと坂東氏は語る。大学進学のあり方についても、「昔はもっと勉強したい人が大学に行き、専門的な知識を学んでいた」のに対し、現在は「就職のためのカタパルトみたいになっている」と指摘し、大学に行くことの価値が形骸化していることに強い懸念を示した。
国民感情との乖離:外国人留学生への手厚い優遇
日本の学生が借金としての奨学金に苦しむ一方で、外国人留学生には手厚い優遇措置が講じられていることに対し、坂東氏は強い疑問を投げかける。国費留学生には月々11万円から14万円が支給され、さらに学費が免除される現状を説明した。これは、「なんで自分の国の子供たちにローンで貸し付けて利子まで取りやがって、なんで外国の子供たちにあげてんだよ。外国人学生に渡す金を日本人に回せ」という国民の不満を代弁している。
少子化により本来なら大学が淘汰されるはずが、外国人留学生の受け入れによって存続している実態も指摘した。国費留学生が私立大学に進学した場合、大学にも補助金が支給される仕組みも存在する。また、国費留学生になれなかった場合でも、様々な財団や企業からの支援があるという。
他国との比較についても言及し、「他国では留学生の場合には高く取る」のが一般的で、「2倍から3倍のお金を大学に払わなきゃいけない」と強調する。日本だけがこのような手厚い優遇措置を取っている現状に警鐘を鳴らした。
問題の背景と国民の意識改革の必要性
この問題は、民主党政権時代(2010年より少し前)にも谷岡郁子氏(民主党)が「自分のうちの子供に小遣いを出して利子を取って返させ、他の子供には小遣いをそのままあげっぱなしという親はいない」と指摘していたことに触れ、長年にわたる課題であることを示した。文部科学省が外国人留学生関連で年間約250億円を支出していることに対し、「水が出てってバケツに水が溜まんのか」と、予算の使途に対する疑問を呈した。
坂東氏は、高齢層の経営者や有権者の中に「留学生イコール苦学生」という古いイメージが残っていることが、現状の制度を維持する要因となっていると指摘する。「この情報の更新っていうのは非常に大切」だと述べ、国民が現状を正しく認識することの重要性を強調した。
大学教育についても、全員が大学に行く必要はないという考えを示した。「もっと勉強したいっていう人は大学に行けばいい」としつつも、農業や漁業など、様々な生き方や職種があり、それぞれが尊重される社会が必要だと訴える。親世代の意識改革も促し、「カタパルトで飛んでいく息子ではなくて、自分の力で前に進める息子・娘をちょっと育てていきたい」と、自立した若者の育成を提唱した。
子育て世代に対し、奨学金の返済に苦しむ現状を「子供たちにそういう思いをさせていいのか」と問いかけ、将来世代への負担を軽減することの重要性を訴える。そして、「本当に今の大学は必要なのか、むしろ潰すべき大学は潰さなきゃいけないんじゃないのか」と、国民の意識改革と大学制度そのものの抜本的な見直しを強く求めた。
坂東忠信氏の講演は、日本の若者が奨学金という名の借金に苦しむ一方で、外国人留学生が手厚い支援を受けているという、日本の不公平な現状を浮き彫りにした。これは単なる経済問題に留まらず、少子化や国民の精神的な負担にも繋がっている。大学進学のあり方、親世代の意識、そして国民一人ひとりが現状を認識し、社会の「流れ」に乗るだけでなく「流れを作る」視点を持つことの重要性が強調された。私たちはこの現状から目を背けてはいけないだろう。
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