作家の門田隆将氏が、来たる参議院選挙における自民・公明両党の厳しい戦いを予測する。勝敗ラインを大きく下回る獲得議席数、そして「首相と閣僚が回るたびに(自民党の票が)減っている」という現象の背景には、国民の強い不信感と「自民党にはどうしても勝たせたくない症候群」が広がっているという。特に、自民党内の保守・現実派が力を失い、「左翼革命」が進んでいる現状が、岩盤支持層の離反を招いていると警鐘を鳴らす。
参院選「惨敗」予測と「自民党には勝たせたくない症候群」の蔓延
作家の門田隆将氏によると、来たる参議院選挙において、自民・公明両党の獲得議席は非常に厳しいものになるという。門田氏自身の予測では「36議席」に留まる可能性があり、これは勝敗ラインとされる50議席を大きく下回る見込みだ。特に比例代表では、過去最低を更新し、1桁の「9議席」に落ち込む可能性も示唆されているという。
青山繁晴議員は「首相と閣僚が回るたびに(自民党の票が)減っている」と指摘しており、これは有権者の「プロテスト(抗議の意思)」と受け取られていると門田氏は語る。増税のみで減税がない現状への国民の不満が背景にあるという。
地方での取材や大阪での石破首相の演説会場が「ガラガラ」な状況からも、一人区での自民党の苦戦が浮き彫りになっていると門田氏は述べる。
これらの状況から、日本列島を覆う現象として「自民党にはどうしても勝たせたくない症候群」が広がっていると門田氏は指摘する。これは、自民党、特に現政権への強い不信感と拒絶反応を示しているものだ。
保守層の葛藤:「左翼革命」が進む自民党
門田氏は、自民党支持層、特に保守層が現在、大きなジレンマを抱えていると分析する。自民党の保守系議員を応援したいものの、「今の政権(石破政権)と与党のあり方を認めてしまうことになるのではないか」という有権者の迷いが深まっているという。全国比例で自民党に投票することが、結果的に石破政権の延命に繋がるのではないかという懸念が、保守層の間で共有されているのだ。
ネットメディアなどで積極的に発信する有村治子氏、杉田水脈氏、長尾敬氏といった保守系議員は、組織票を持たないため、非常に厳しい選挙戦を強いられているという。
門田氏は、2023年9月27日に起こった出来事(石破氏が党総裁選で高市氏を逆転したこと)を「左翼革命」と表現する。長年安倍政権下で支配的だった保守・現実派が、左翼勢力によって排除されつつあると主張するのだ。LGBT法や選択的夫婦別姓など、日本の根幹を揺るがすような左翼政策の推進が、自民党の岩盤支持層(保守・現実派の支持層)の離反を招いていると分析している。
衆議院選挙での大敗(1/4の議席を失い少数与党に転落)後も、保守・現実派が石破政権を引きずり下ろさなかったことについて、門田氏は彼らの「行儀の良さ」が裏目に出たと批判する。国民民主党との連携や、積極財政派による政権奪取の機会を逸したと指摘している。
また、麻生太郎氏の「とことんまで負けよう」という戦略や、岸田政権が続く中で起こった政治資金規正法違反など、政権が吹っ飛ぶような問題が何度もあったにもかかわらず、保守・現実派から「国民のために」と声を上げ、行動する「迫力のあるやつがいない」と門田氏は嘆く。
秋の衆院解散と保守層への期待
参院選で与党が大敗した場合、秋の衆議院解散・総選挙の可能性が非常に高まると門田氏は予測する。前出の青山氏は、「自由民主党の中で本当の改革を増やす以外になくなった」と述べ、参院選の結果を受けて党内で保守議員が力を増す必要があるとの認識を示しているという。
門田氏は、この危機的状況を打開するためには、国民が自ら行動し、新しい政権のフェーズに向かって進むべきだと訴えている。
今回の門田隆将氏の対談から、自民党が現在、有権者からの強い不信感と、党内の保守層からの見限りという二重の危機に直面していることが明らかになった。特に、現政権の政策や姿勢に対する国民の不満、そして保守・現実派が党内で力を失いつつある現状は、日本の政治の大きな転換点を示唆している。果たして、参院選の結果は、日本の政治の転換の方向性を決定づける重要な要素となるだろうか。
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