元参議院議員の松田学氏が、現在の日本が抱える財政問題と、減税を阻む「ディープステート」の存在について独自の視点から解説する。故安倍晋三元総理も評価したという政府発行デジタル通貨「日本Pay」構想を提唱し、国債問題の解決と経済活性化、そして中国のデジタル通貨に対抗するための具体策を提示。国民負担率の引き下げと、国民が主体となる「国民運動」の重要性を訴える。
「積極財政」の壁と「財務省解体論」の真意
元参議院議員の松田学氏によると、故安倍晋三元総理は「元々ものすごい積極財政だったんですね」にもかかわらず、消費税の引き上げを2度もせざるを得なかった現実があったという。「安倍さんでも消費税を上げざる得なかった」と述べ、現在の財政構造では、どんなに優れた総理大臣でも大規模な減税を簡単に実施することはできないと松田氏は強調する。
松田氏は、自身が財務省出身でありながらも、メディアで取り上げられるようになった財務省解体デモに対し「解体デモが起こるのは当然のことであろうと」と肯定的な見方を示す。しかし、問題の本質は財務省の存在だけでなく、現行の法律、特に財政法4条の赤字国債禁止規定や、それを守ろうとする官僚の行動様式にあると指摘する。「その法律を守るのは役人の仕事なので、だから税収がインフレで上がったところで、まず赤字国債を減額することを優先しちゃうんですね」。
参政党が掲げる国民負担率35%への引き下げ(現状45%)についても、消費税減税を例に挙げ、その財源を他の税(所得税)や社会保険料で補えば国民負担が増加し、減税の意味がなくなると説明する。結果として、「やっぱり国債を増発するしかないですね。借金を増やすしか減税できないわけです」と、国債増発の必要性を強調した。
日本に存在する「ディープステート」の正体
松田氏は、トランプ大統領がFRBをディープステートと呼んだことに触れつつ、日本にも減税や積極財政を阻む「ディープステート」が存在すると主張する。これは陰謀論ではなく、選挙で選ばれていない官僚組織やそのバックにいる利権集団が、彼らの利益のために国の政治や政策を歪めている状態だと説明する。「官僚組織あるいはそのバックにいる利権集団」がそれにあたるという。
具体的なディープステートの例として、松田氏はGHQが残したとされる財政法4条を挙げる。「財政法4条って話しました。あれはGHQが置いてったって言われてですね」と述べ、選挙で選ばれていないGHQが日本の重要な制度に影響を与え、それが未だに国債発行を制約していると指摘する。
また、日本銀行が金融政策の有効性を保つために国債購入を減らしていることに対し、「これって国民が選んだ代表が決めてないですよね」と、民主的なプロセスを経ていない決定が減税を阻んでいる要因だと述べる。
国際決済銀行(BIS)による銀行の自己資本規制強化「バーゼル3規制」もディープステートによる影響と捉える。「これも我々が民主的な手続きで選んでない勢力です」。さらに、国際金融市場における投機的な「日本売り」の動きが金利上昇を招き、減税を困難にしていると説明する。「国際金融ヘッジファンドとか『日本が国債増発されると国債の値段が下がる金利が上がるぞ』なんていってそういう雰囲気を市場で作っていって投げ売りをかけるとか」。
「松田プラン」:政府発行デジタル通貨「日本Pay」で国難を打開する
松田氏が提唱する「松田プラン」の核心は、国債が増えることによる問題(金利上昇、将来の償還負担)を解決することだ。政府には「通貨を発行する権限があるんですよね」という点に着目する。
新しい通貨として、お札ではなく、ブロックチェーン技術を用いた政府発行のデジタル円(松田氏曰く「日本ペイ」)の普及を提唱する。
具体的には、日本銀行が保有する多額の国債(600兆円規模)を、満期が来た際に政府が発行する電子マネーで返済することを提案する。これにより、日銀のバランスシートが改善され、国債をさらに購入できる余地が生まれ、金利上昇を抑えることができると説明する。「満期が来たら政府が電子マネーを発行して それで国債回避すればいいんじゃない?日銀が持ってる部分ですね」。
日本が世界最大の対外純資産国(470兆円超)であることに触れ、この海外に滞留している資金を国債発行で吸収し、国民に還元することで、老朽化したインフラ投資、食料・エネルギー開発、AI、介護ロボット導入など、国がなすべき多くの課題解決に繋がると述べる。「海外流れてるお金を国内に回していけばいろんなものの課題解決ができる」。
松田プランは安倍元総理も評価していたと述べられている。「これは乗れるとおっしゃったという風に聞いてるんですね」。安倍元総理が自身の総理在任中に打ち破れなかった壁を、この仕組みの変更で突破し、真の積極財政が実現できるのではないかと期待していたと松田氏は推測する。
中国のデジタル人民元の普及が進む中で、日本人の個人情報が中国に流れるリスクを回避するためにも、日本独自のデジタル通貨「日本Pay」の普及が急務であると強調する。「日本ペイって言ってんですよね。そういう電子マネーを普及させて、私たちの国を守っていくということにもつなげたいなと思ってんですね」。
トランプ氏との共通認識と「国民運動」の重要性
松田氏は、トランプ大統領がFRBをディープステートと呼んでいることと、自身が日銀をディープステートと表現していることに共通点を見出す。中央銀行だけがお金を発行するという現状に疑問を投げかけている点で、互いの認識が近いのではないかと推測する。「トランプさんは新しい通貨のあり方を考えてるのは間違いないんですけれども、どういうことを考えてるのかをちゃんと知りたいと思います。もしかすると松田プランにかなり近いことを考えてんじゃないかなと思います」。
中国のデジタル人民元のような全体主義的な通貨システムとは異なる、それぞれの国独自の通貨システムを構築することの重要性について、トランプ大統領と対談したいと述べている。
参政党は、国民が自ら声を上げ、政治を動かす「国民運動」を創ろうとしていると松田氏は語る。「他人任せずに自分たちで声を出して政治を動かしていこうっていうのは参政党ですからね」。松田プランは「難しい」と言われることが多いものの、時間をかけて説明すれば理解してもらえると認識しており、今後は街頭演説などで「現実みのある分かりやすい言い方」で普及に努めていくとしている。参政党がキャスティングボードを握ることで、松田プランの実現が可能になるとの期待を示している。
松田学氏が提唱する「松田プラン」は、政府発行デジタル通貨「日本Pay」によって、日本の財政構造と「ディープステート」がもたらす問題の解決を目指している。安倍元総理も評価したとされるこの構想は、国債問題の解決、経済活性化、そして中国のデジタル通貨への対抗策となりうる。この複雑なプランを国民に浸透させ、国民が主体となる「国民運動」として推進できるかが、日本の未来を左右する鍵となるだろう。
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