株式会社JX通信社代表の米重克洋氏が、2025年参院選の最新情勢を徹底分析する。各社の情勢調査を総合すると、自民・公明両党の獲得議席が「50を結構簡単に割ってしまうかも」しれないと米重氏は予測。今回の選挙における最大の注目点として、「参政党ファクター」の台頭を挙げ、自民党の苦戦や公明党の議席獲得難を招いていると解説する。今回の参院選は事実上の「政権選択選挙」であり、「自民党政権がかなり窮地に立たされている」という見方を示す。
与党の苦戦──公明党の「必勝」神話が崩れる可能性
2025年参院選を前に、各社の情勢調査が出揃い、その結果は与党にとって厳しいものだ。JX通信社代表の米重克洋氏は、共同通信が「過半数いくかどうか」と表現する一方で、他社は「数が割れることを強く示唆している」と指摘する。全体の「相場感」としては、「自民公明合わせて50いかない可能性というのが大体の相場」だと述べている。
与党の獲得議席数について、選挙ドットコムの予測では自民・公明合わせて「41から53ぐらいのレンジでま見ている」と示されている。この予測は「そんなにずれてはない」と米重氏は評価する。
特に注目すべきは公明党の動向だ。かつては選挙区に候補者を立てれば「必勝なんで落とすってことは考えられない」という「古き良き選挙のまあ見方」があった。しかし現在は、「公明が結構複数人区の選挙で、特に東京以外の選挙においては、結構参政とか国民とか、まあこういったところとちょっとこうあの当落になっているところがあります」と状況が変化したという。
公明党の得票数には、創価学会の会員数だけでなく、政権の調子によって変動する「フレンド票」の上乗せ分があり、「政権の調子が悪い時は全然取れないんで一気に下がっちゃう」と米重氏は解説する。自民党が議席を積み上げるのに苦労している中で、「公明が足元からちょっと崩れるみたいな、もしそういうことがあった場合には50を結構簡単に割ってしまうかもしれない」と米重氏は警鐘を鳴らす。
「参政党ファクター」の台頭と各党への影響
今回の参院選の最大の特色として、米重氏は「参政党ファクター」の台頭を挙げる。参政党が「全ての選挙に参政党が立っていて」その影響は大きい。
一人区では、「自民党が本来取りたかったような右派系の無党派層だとかこういったところを取り込んでいくので自民党の頭が抑えられている」という影響が出ている。
複数人区では、「国民民主党とか、そういったところとの競合が強いというか、トレードオフのような感じになっている」ため、公明党が議席を確保しにくくなるケースもあるという。参政党は「比例で非常に大きく伸びるだろう」と予測されており、「複数人区においても議席の獲得が見えているところが出てきている」と米重氏は語る。選挙ドットコムの予測では、参政党は「8から14」議席を獲得する見込みで、「十分あり得る範囲の予測」だと評価する。
他の主要政党の情勢も米重氏は分析する。立憲民主党は、「選挙区を中心にまあ非常に好調」であり、特に一人区での共産党との連携が奏功し、「有利になったケース」も見られる。
日本維新の会は、支持率は伸び悩むものの、「関西の選挙区でしっかりまあここは取れるだろうという数字」があり、「5から7」議席の獲得が見込まれている。
共産党は、「支持者が高齢化している」ことや、「れいわ新撰組」という選択肢があることで厳しい戦いを強いられている。改選前の7議席を「達成するのはめちゃめちゃ難しい」と米重氏は見ている。
国民民主党は、「4月とかの勢いだったら全然20とか余裕で乗ってた」ものの、現在は「12から19」議席と予測されている。「比例が参政とどちらが上回るか」や、選挙区での積み上げが鍵となるという。
れいわ新撰組は、「改正前と比べるとやっぱり伸ばすだろう」が、「参政党がやはり伸びるにつれてれいわ新撰組の支持層が少しこう食い込まれてる」と分析されている。
日本保守党は「1から2」議席の獲得が見込まれており、「参政党と保守党を世論調査の内訳で分解してみると共通しているのは安倍政権を評価する層というのは両方に共通して多い」と米重氏は語る。一方で、「石破内閣に対しては極めて否定的」であり、「旧民主党政権に対しても極めて否定的」な層が多いという共通点がある。しかし、「参政党の方がより広い間口で」れいわ新撰組の支持層なども取り込み、「よりスケールしていて」いる点が違いだという。
社民党は「政党要件の存続がかかってます」と、厳しい状況にあることを示唆した。
事実上の「政権選択選挙」となる参院選
米重氏は、今回の参院選を「参院選なのに政権選択選挙に事実上になる」と捉えている。
物価高など「経済を理由にして自民党支持する理由をなくした人たちの票の大きな移動が起きていて」、それが「自民党政権がかなり窮地に立たされている」現状を生み出していると米重氏は指摘した。
選挙予測の難しさについても言及し、複数人区の予測は「非常に難しい」と述べる。当選者の予測は容易でも、「2位3位4位が誰になるみたいなのは難しい部分はある」という。選挙期間中の情勢の急変も、予測をさらに困難にしていると語った。
はたして、米重氏が分析した「参政党ファクター」は、与党の過半数割れを決定づける要因となるだろうか――。2025年参院選の結果は、日本の政治情勢に大きな変化をもたらすかもしれない。
コメント