政治ジャーナリスト・鮫島浩が解説!石破総理「退陣」の舞台裏と「ポスト石破」レースの行方政治ジャーナリストの鮫島浩氏が、参議院選挙での惨敗を受けて退陣が確実視されている石破総理の舞台裏を解説する。臨時総裁選の法的根拠や、森山幹事長が主導する水面下の権力闘争、そして次期総裁選の方式を巡る各候補の思惑について、その全容を明らかにする。
退陣は不可避!臨時総裁選の「法的根拠」
参議院選挙での大敗により、石破総理が党内の支持を失い、退陣が避けられない情勢だ。9月には臨時総裁選が実施されることが確実となっている。
石破総理は「政治空白を作るわけにはいかない」と述べ、総裁選期間中も職務を継続する意向を示している。しかし、当選の見込みは低く、推薦人20人の確保も困難とみられる。最終的には「不出馬という形で自身のメンツを保ちつつ退陣する可能性が高い」と予測される。
自民党内では、石破総理への不満が「退陣要求は強まるばかり」であり、「臨時総裁選に賛成する声が過半数を超えるのは間違いありません」という状況だ。
今回のように、総理自らが退陣を表明していないケースでも、自民党には総裁を交代させるための規定が存在する。党則6条には、党所属の国会議員と都道府県連代表の過半数が要求すれば「総裁が退陣表明をした場合と同じルールで総裁選挙を臨時に行うことができる」と定められている。
これは「自民党内で総裁リコール規定と呼ばれています」と表現されるが、厳密には「リコールではなく臨時総裁選の実施」だ。鮫島氏によれば、この規定は、総裁のメンツを保ちつつ退陣を促す「大人の知恵」なのだという。
森山幹事長が握る主導権
石破総理への退陣要求が噴出する中、党内の調整役として中心的な役割を担っているのが森山幹事長だ。
森山幹事長は既に総裁選の前倒しを「固く決意しており」、麻生太郎氏や岸田文雄氏といった有力者と個別に会談し、石破総理退陣への流れを説明していた。現在、党内で「石破降ろしの動きがやや収まっているのは、このような森山さんの寝回しの結果に過ぎません」。
すでに石破総理は「もはやレームダック」で、「何の力もありません」。総裁選の実施方法を決定する実質的な権限は、森山幹事長が握っているのが現状だ。
「ポスト石破」を占う総裁選の方式
臨時総裁選の方式には、大きく分けて二つの選択肢がある。
一つは、全国の党員が投票権を持つ「フルスペック総裁選」だ。国会議員票と党員票が半々で、選挙期間は2週間から3週間。党員投票が勝敗を大きく左右するため、「党員人気の高い高市さんが有利」とされている。
もう一つは、衆参国会議員と都道府県連代表各3人の投票で決める「両院議員総会の短縮バージョン」だ。選挙期間は1週間程度と短く、「派閥の数の力が物を言う」。この方式なら、「林芳正さんや茂木敏充さんにもチャンスがある」と分析されている。
どちらの方式を選ぶかは、現執行部(実質的には森山幹事長)の権限であり、今後の政局の大きな焦点となる。
鮫島氏によれば、森山幹事長は、増税に慎重な財政緊縮派であり、積極財政派である高市氏の勝利を阻むため、「できればフルスペックの総裁は避けたい」と考えていると推測される。高市氏がどこまでフルスペック総裁選を求める党内世論を盛り上げられるかが、8月末までの「第1ラウンド」の焦点なのだ。
始まる「ポスト石破レース」と政治空白
臨時総裁選の実施が確実となったことで、自民党内では事実上「ポスト石破レース」が始まっている。正式な出馬表明は総裁選挙管理委員会が日程を発表した後になるが、お盆明けから水面下での駆け引きが本格化すると予測されている。
現時点で有力候補として挙げられているのは、高市早苗、小泉進次郎、林芳正、小林鷹之、茂木敏充の各氏だ。そして、麻生太郎、菅義偉、岸田文雄といった元総理3人も「裏で暗躍する」と見られている。
石破総理が退陣を表明していないことで、「臨時総裁選が9月に行われ新しい総裁が誕生して石破内閣が総辞職するまで2ヶ月もかかってしまう」という懸念が示されている。
石破総理は「政治空白を作るわけにはいかない」と発言しているにもかかわらず、「石破総理自身こそ2ヶ月の政治空白を生む元凶になっている」と鮫島氏は批判する。
はたして、石破総理はいつ「不出馬」を表明し、ポスト石破レースは本格的に始動するのだろうか――。
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