ジャーナリスト・及川幸久が解き明かす!トランプ-プーチン会談の裏に隠された真の狙い

国際政治

ジャーナリストの及川幸久氏が、来週に予定されているトランプ大統領とプーチン大統領の会談の深層に迫る。表面的な軍事的圧力とは裏腹に、その真の目的は、中国に対抗するための米ロ間の経済協力にあると語る。

トランプの「奇妙な言動」と秘密裏に進む交渉

トランプ大統領がロシアに近い海域に核搭載の原子力潜水艦を派遣するという「奇妙な行動」をとった。この発言は、表面上はロシアへの圧力に見える。しかし、及川氏はこれを、国内の共和党内、特に反ロシア派(ネオコン)を黙らせるための「パフォーマンス」だと分析する。

実際のところ、米国の潜水艦のミサイル射程距離は1万5000kmにも及び、ロシア近海に配備する軍事的な意味はほとんどない。及川氏によると、この表面的な動きの裏で、トランプ政権はロシアとの経済協力を進めることを真の目的としている。

その証拠に、会談に先立ち、トランプ大統領の特使であるスティーブ・ウィトコフ氏が、モスクワでプーチン大統領と秘密裏に会談している。ウィトコフ氏はトランプ大統領の40年来の友人であり、中東問題だけでなく、ロシアのプーチン担当特使も務めている。及川氏はこの会談が「非常に生産的であり、大きな進展があった」と報じられているものの、具体的な内容は不明だと述べる。

米ロ経済協力の鍵を握る「レアアース」と「北極圏」

今回の会談の主要なテーマは、ウクライナ危機における停戦問題と、アメリカとロシアの「戦略的協力関係」(主に経済、ビジネス)であるとされている。及川氏は、後者に重きが置かれている可能性が高いと見ている。

この経済協力の鍵を握るのは、プーチン大統領の経済政策顧問であるキリル・ドミトリエフ氏だ。ウィトコフ氏はプーチン大統領との会談に先立ち、ドミトリエフ氏と会っていた。ドミトリエフ氏は、ロシアの政府系ファンド「ロシア直接投資基金」のCEOであり、元ゴールドマン・サックス出身という「アメリカの思考回路を持つ人物」だ。

主要な経済協力案件の一つが、ロシアが世界5位の埋蔵量を誇る「レアアース」だ。及川氏は、プーチン大統領がアメリカに対し、レアアースの共同探査と供給の道を模索しているとされると語る。アメリカにとって、レアアースは軍事生産や現代の電子機器に不可欠な資源であり、中国がほぼ独占的な地位を占めていることが最大の脅威となっている。

さらに、アメリカのロシア・ユーラシア研究の第一人者であるマーク・エピスコポス教授は、アメリカ側がロシアに「北極圏の共同開発」を提案する可能性を指摘している。北極圏、特にロシアが最も支配的な地域は、今後の世界経済を制する上で重要とされている。アメリカはグリーンランドを確保しようとしているが、北極圏全体を支配するにはロシアとの協力が不可欠だ。

ロシアの要求とトランプ政権の戦略

ロシア側が、ウクライナとの停戦条件として譲れないと見られるのは、ロシアが併合したウクライナ東部4州からのウクライナ軍の撤退と、ウクライナのNATO加盟の撤回だ。

及川氏は、これまでネオコンやグローバリストはロシアを敵視してきたが、トランプ政権は「アメリカの未来のためにロシアとパートナーになるべき」という考えを持っていると解説する。しかし、国内の反ロシア勢力を抑えながら事を進める必要があり、それが「奇妙な言動」の背景にあると分析する。

トランプ政権は、ロシアにオファーしたい経済協力案件があるため、その見返りとしてウクライナ問題でのロシアの要求を受け入れる方向で交渉が進められる可能性がある。

はたして、トランプとプーチンの会談は、米ロの「戦略的協力関係」を築き、中国に対抗する新たな国際秩序を形成することができるだろうか――。

ジャーナリスト・及川幸久が解き明かす!トランプ-プーチン会談の裏に隠された真の狙い

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