経済評論家・三橋貴明が分析する参政党躍進の理由と「決まらない政治」の到来

国内政治

経済評論家の三橋貴明氏が、参議院選挙で参政党が躍進した背景を分析する。投票率の上昇や有権者の意識変化に注目し、デフレからの脱却と「日本人ファースト」という2つの争点が、日本政治を大きく変える転換点になったと語る。

「給付金なんて馬鹿にしてる」という国民の怒り

今回の参議院選挙で、参政党が14議席を獲得するという大きな躍進を遂げた。その最大の理由は、政府が一時金や給付金で対応しようとする中、参政党が「恒久減税」を堂々と訴えたことにあると三橋氏は分析する。

給付金なんて馬鹿にしてる」という国民の感覚に合致し、特に消費税5%への減税が実現すれば「日本経済成長する」と語る。

もう一つの争点は「日本人ファースト」というスローガンに代表される外国人問題だ。これまでタブー視されてきたこの問題に参政党が言及したことで、「みんな思ってたんだ」と国民が共感した。特に「このままじゃ死んでしまう」という危機感から、子育て世代の母親や18歳から24歳の若い世代が行動を起こしたと三橋氏は指摘する。

投票率上昇が示す「生活への危機感」

今回の選挙では、有権者の投票行動に大きな変化が見られた。6年前の参議院選挙の投票率が約48%だったのに対し、今回は58%台に上昇し、特に東京では61%と高水準を記録した。

この変化の最大の理由は「目の前で物価が上昇してること」だと三橋氏は語る。「給料上がらないけど物価上がってるんで」「このままじゃ死んでしまうと」という切実な危機感が、これまで政治に無関心だった若年層を動かす要因になった。これは「財政危機はどうでもいいから」「俺たちも助けてくれ」という切実な願いが投票行動につながったことを意味する。

有権者がデフレ状況に慣れきっていた状態から、「自分の生活がもう耐えられない状況」にあることを自覚し、政治に具体的な変化を求めるようになったことが今回の投票率上昇に繋がったと分析する。

弱体化する自民党の組織票

今回の選挙結果は、自民党の支持基盤にも影響を与えている。三橋氏は、自民党の組織票(医師会、土建業、農協など)を剥がすべく、「あなたたちが苦しいのはなぜですか?自民党のせいでしょう」と働きかけてきた結果、「減った」と述べている。

特に農協の票は昔の40万票から20万票へと大きく減少し、組織内でも自民党への不満が溜まっていることが明らかになった。

一方、安倍元首相に近かったとされる「いわゆる保守」の候補が次々と落選し、結果的に自民党の「組織」が議席を多く獲得した。三橋氏はこれにより「自民党はこれからいま以上に組織頼みになって、さっき言ったような『指名外すぞ』みたいなあこぎなことをやってくんだろうな」と、組織の硬直化と強権化が進む可能性を懸念する。

ガソリン税は「11月1日で廃止」、消費税は「一晩でできる」

参議院選挙の結果は、今後の日本政治の動向に大きな影響を与えると予測する。減税や財政出動を訴える政党が票を伸ばしたことで、政治は「積極財政」の方向へ進む可能性が高い。

特にガソリン税の「暫定税率」は野党が全員賛成しているため、「おそらく11月1日で廃止です」と具体的な時期を予測した。これは「97年以降初めての財務省の敗北」であり、恒久減税への道が開かれることになるという。

また、自民党・公明党が参議院で過半数を割ったことで、「内閣組めない」という状況に陥り、「究極の決まらない政治」が到来すると予測する。野党が連携して提出する法案は通るものの、与党が出す法案は通らないといった「地獄」のような状況になる可能性を示唆する。

消費税5%への減税も、将来的には実現の可能性があると期待する。三橋氏は、消費税率の変更は「数字変えるだけ」で「一晩でできます」と述べ、これまで言われてきたシステム上の困難を否定する。

「間に合った」日本と参政党の未来

三橋氏は、参政党の躍進に大きな期待を寄せている。他国の移民人口比率と比較し、「今はまだ3%未満だから」「間に合った」と述べる。これは、外国人問題が深刻化する前に参政党が問題提起し、国民の意識を変えることができたという認識だ。

今後、自民党が「間違いなく落っこちてく」中で、参政党がその「受け皿」となっていくことが期待されている。「第3者的に見ても伸びる未来しか想像できん」と、その将来性を高く評価した。

しかし、政権中枢に入るには「衆議院の小選挙区」での議席獲得が不可欠であり、参政党はまだその課題を抱えている。

はたして、「決まらない政治」の到来は、日本経済をデフレから脱却させるきっかけとなるだろうか。

経済評論家・三橋貴明が分析する参政党躍進の理由と「決まらない政治」の到来

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