2025年8月1日、参政党代表の神谷宗幣氏が臨時記者会見を開催した。国会議員を擁する新体制の役員人事、今後の政策、メディアとの向き合い方まで、多岐にわたる質問に回答。新しい国会に臨む「国民の参加型政党」の全貌が明らかになった。
「新人」から「経験者」へ、新体制の狙い
参政党は臨時国会開催に伴い、両院総会を開き役員人事を決定した。新幹事長には、自民党で衆議院議員を3期務めた安藤裕氏が就任。さらに、参議院会長には結党メンバーの松田学氏、参議院国会対策委員長には梅村みずほ氏、衆議院国会対策委員長には鈴木敦氏を起用した。
今回の人事を経験者で固めた狙いについて、神谷代表は「我が党はご存知の通りも新人なので、まず、議員経験のあるメンバーで、まず駆け持ちでいくつか役をやって」と説明。議員が議会の回し方に慣れてきたら、新人に経験を積んでもらうため役職を振っていく方針だという。安藤氏の起用については、「与党の中で色々経験されてきてる」ことを評価し、その経験に期待を寄せた。
独自の政策をどう実現するか
政策面では、独自の考えを明確に打ち出した。
まず、外国人による土地取得規制については、政府が定めた「重要土地利用規制法」だけでは不十分だと指摘。「重要であるかどうかに関わりなく、一般の投資で外国人が買う場合についても、一定の例えば税をかけるとか」といった規制を検討していく方針だ。「島がまるまる買われてしまった」問題にも言及し、早急にワーキングチームを設置する考えを示した。
ガソリン暫定税率廃止と消費税減税については、他党との連携を模索する。「まずは合意できる党と、まず話し合いを詰めていって」協力体制を築きたいという。
安全保障では、理想は「核のない世界」としつつも、「核の抑止力というものを選択肢からなくすということは間違い」だと述べ、現実的な議論の必要性を訴えた。すぐに核保有を宣言することは現実的ではないとしつつも、核抑止力の検討は続けるという。
安藤幹事長は、自身の経済政策が「MMT云々って話ではなくて」と述べ、自民党がやってきた政策を修正し、「日本をもう一度成長軌道に戻していく」ことを目指すと説明した。
メディアとの対立と「暴力」への警告
記者会見では、事前登録制を導入した理由や、特定の記者を排除した経緯について質問が集中した。
会見参加の登録制については、過去の会見で収容人数を超えたことや、選挙期間中の妨害行為があったためだと説明。選別目的ではなく、あくまで「事前の登録をしてもらえれば、その段階で弾くということはまずない」と強調した。
一方、会見への参加を拒否された神奈川新聞の石橋記者に対しては、「謝罪をする気は全くありません」と明言。石橋記者が選挙期間中に「妨害活動する方々と一緒になって何度も来られ」たことや、「無理なインタビューをしようとしたり」したことを排除の理由として挙げた。
神谷代表は、選挙期間中の「わめき騒いだりとか、大きな声をあげてやめてくれっていっても、やめない人たちと一緒に行動してる」人々の存在を指摘。こうした妨害行為は、演説を聞きに来る「聴衆の知る権利を犯かして」おり、「あれとも半分暴力ですから、そういったものを、マスコミの皆さんには当たり前のものとして、看過しないでいただきたい」と強く訴えた。今後は、法律で規制をかけることも検討するという。
今後の党運営と人材育成
参政党は今後、「国民の参加型の政党」として党組織の強化を図る。次期衆議院選挙については「100人体制で選挙に挑みたい」と述べ、候補者の公募を継続する方針だ。また、地方議員や将来の国会議員を目指す人材を育成するため、9月から「参政党第2期の政治塾」を開催し、参加者を募集すると発表した。
神谷代表は、自身に向けられたハラスメント疑惑について、言葉遣いが強いとの指摘を認識し、「言葉の使い方は気をつけなければいけないな」と述べた。また、女性の「生む権利」については、「自分の意思で生みたいと思えるような社会」を作ることが重要だと強調し、強制的な出産を否定した。
靖国神社参拝については、8月15日に議員団有志で参拝する意向を示した。アメリカの保守系活動家との交流を深めるため、9月には山中議員が訪米を計画していることも明らかにした。
新体制を固め、次期衆院選に向けて動き出した参政党。はたして「国民の参加型政党」として、既存の政治を変えることができるだろうか――
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