参政党が示す「新日本憲法構想案」の真意とは?「議論の叩き台」が問いかける日本の未来

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参政党は、現在の日本国憲法が「日本人の意思で作られていない」こと、外国の歴史観に基づいていること、そして「一切国の守りに関する仕組みが全くない」という3つの問題点を挙げ、約2年、延べ500人の党員が関わり、ワークショップ形式で新憲法草案を作成したと説明した。これは「憲法の議論をするための叩き台」であり、そのまま憲法にする意図はないと強調。日本国憲法が80年間全く改正されず、「機能不全になっている」と指摘し、従来の「護憲」や「改憲」といった議論では不十分であり、「根本から考え直さないとさっき言った問題が解決できない」と考えているという。

憲法制定の背景と「機能不全」への警鐘

参政党は、現在の日本国憲法が抱える3つの問題点を指摘する。一つ目は、約80年前、日本が戦争に敗れて占領されていた時期に、連合国(GHQ)によって作成されたものであり、「日本人の意思で作られていない」こと。二つ目は、「外国側の歴史観に基づいて作られて」おり、「日本が悪かった」という前提に基づいていること、そして「周りの外はいい国ばかりだから周りの国を信頼しなさい」という内容になっている点だ。三つ目は、当時、日本に軍隊がなく、自衛隊も存在しない状況で作られたため、「国の守りに関する仕組みが全くない」ことだという。

参政党は、日本国憲法が80年間全く改正されず、「機能不全になっている」と指摘する。従来の「護憲」や「改憲」といった議論では不十分であり、「根本から考え直さないと問題が解決できない」と考えているという。

新憲法草案の三大原則と新たなコンセプト

現在の日本国憲法の「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という三大原則は、「理想として素晴らしいものなんで、基本的にこの3つを変えるわけではありません」と述べられている。しかし、これらの原則をより具体的に、より確実に実現するための3つのコンセプトが追加されているという。

一つ目の「国体と国民参加」では、日本の政治の根本的な考え方や歴史を明確にし、国民の政治参加を促すことで、国民主権をより確実に実現しようとしている。現在の投票率低下などにより、国民主権が「看板だけになっている」状況を改善し、「国民が政治に参加できるようにしていかないと国民主権が守れない」という意図があるという。

二つ目の「権利の基盤としての公益」では、個人の権利を守るためには、その基盤となる「公共の利益(公益)」を明確にすることが重要だと位置づける。現在の憲法は個人の権利に重点を置いているが、例えば食料自給率の低下や農業保護の必要性など、足元が不安定な状況では個人の権利も具体的に実現しにくいという。「食料時給率を高める」「米作りとか農業をしっかり保護する」といった具体例が挙げられており、これらは党員からの強い要望が反映されているそうだ。環境や文化なども公益に含まれるとし、「国益」を守ることで「国がグローバリズムで弱体化していけば結局そこに住む我々の権利も削られていく」ため、個人の権利をより強固に守るための考え方だと説明した。「今外国人も増えてる」状況において、「外国人と日本人を区別しませんみたいなことを言うと、結局外国人の権利と日本人の権利がぶつかってしまって」紛争が生じる可能性があるため、国益を明記したと説明されている。

三つ目の「国の自立と平和」では、日本国憲法の平和主義は「非武装」「戦力を一切持たない」という前提に立っているが、現実には自衛隊や在日米軍が存在し、スパイ活動なども行われている状況があることを指摘する。「国の自立を守って平和を追求」するためには、情報の自立、経済の自立、国内産業の保護、エネルギーの自給など、「国の守りの部分をしっかり書く」必要があるとし、「国の守りイコール軍事じゃない」と強調。軍事も一部だが、情報や経済基盤、社会インフラの保護が重要だと述べた。アメリカへの依存を続けるのではなく、「アメリカとの対等な同盟」を目指すべきとし、「自分たちのことは自分たちで」という意図があるという。「戦争しようとしている」という批判に対しては、「できませんからそんなの」と否定し、「戦争なんかしちゃいけないということが大前提にあります」と述べ、あくまで「いかに日本を自立させて意味のない武力衝突に巻き込まれないようにするか」という考えに基づいているとしている。

主な批判への反論と草案の構成

参政党は、新憲法草案に対する主な批判にも反論している。人権の軽視・削除については、日本国憲法にある多くの人権規定を「若干表現をですね整理した」だけと反論した。イギリスの不文憲法や過去の日本の憲法(十七条憲法など)を例に出し、条文の数が少なくても権利が守られる運用が可能であると説明する。現在の政府(自民党など)が「緊急事態条項みたいなものが書き込まれたら権利を制限するあのことを書かれてはいけない」としており、参政党は「大反対」しているため、参政党の草案に「そういったことは当然入ってない」と強調した。

「国家主権」への変更(国民主権の否定)については「明確な誤解」だと説明。主権には国内の決定権がどこにあるかという意味の「国民主権」と、外国からの干渉を受けずに自ら決定する権利があるという意味の「国家主権」があるとし、「日本のことは日本人でちゃんと決めるんだということを明確にしないといけないよという意味での国家主権」であると説明した。

「国体」の明記については、「天皇陛下がいらっしゃってその権威の元に内閣総理大臣が政治を行うということ」と説明する。天皇陛下が「国民の平和や世界の安寧を願って祭祀」を行う象徴としての役割があり、そのもとに国民や世界の人々が幸せに暮らせるよう政治を行うのが権力者の役割であるという、日本の「古来日本の国の形」を指すという。現在の国会議員や官僚が「市理主」や「自己」に走っていないかを再確認するために「国体」を明記したものであり、「別に象徴天皇としての役割 を変えようとかそういうことは言っていない」と強調した。国体を明確にすることで「国民の権利 を守ることになるだろう」という考えを示している。

新憲法草案の構成は、現在の日本国憲法が99条あるのに対し、参政党の草案は「1/3」に減らされている。これは「創憲」であり、「1から作る」という意図、そして「子供でも読めてで覚えられるぐらいの」という意見が多かったためだという。「日本国憲法である程度当たり前になってるところはできるだけシンプルにして」いるが、内容は充実しており、「200条以上」のアイデアから取捨選択した結果、33条になったと語る。「今までの権利とか、そういったものはできるだけ短くして、ただその権利を守るためにいかなる仕組みを作るかっていうところに私たちは注力した」と説明し、公益の保護(農業、食料、環境、文化、水道など)や、国の守りの仕組み(情報、インフラなど)、国民参加を促す仕掛け(国民投票、委員会など)が盛り込まれている。

参政党の新日本憲法構想案は、あくまで「議論の叩き代発想の転換として世に提案する」ものであり、様々な意見が出てくることを望んでいるという。従来の「護憲か改憲か」という議論だけでなく、「自分たちでゼロから作るという選択肢がある」ことを国民に訴えたいとしている。批判も歓迎し、国民が憲法や国の形、未来に関心を持って議論することを促したいと考えているようだ。はたして、参政党が提示するこの「叩き台」は、日本の憲法議論を新たなステージへと進めるきっかけとなるだろうか。国民一人ひとりがこの構想案について考え、議論に参加することが求められている。

参政党が示す「新日本憲法構想案」の真意とは?「議論の叩き台」が問いかける日本の未来

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